ここは東京、三鷹市の片隅にある小料理屋、「失恋レストラン」。
今日も恋に破れた渡り鳥たちが、羽を休めに止まる止まり木。
カランコロン。
おやおや、傷ついた子羊がこのレストランのベルを鳴らす。どうしたんだい、お兄さん。
「突然彼女が出て行ったんです…」
おっと、そいつは大変だ。心当たりはあるのかい?
「昨日ゲイだってことカミングアウトしたんです」
おいっ!そりゃね~。
カランコロン。
またか弱い子羊が。どうしたんだい、お嬢さん?
「彼とケンカしちゃった…」
ヘイヘイ、どうしたことだい?
「彼、ゲイだったの」
こらっ!またかっ!
「彼、僕みたいなのタイプでしょうか?」
さっきのお前!何紹介してもらおうとしてんだ!
カランコロン。
ふーむ、この子猫ちゃんもなにやら思いつめている様子。どうしたんだい、若人よ。
「僕、結婚して婿養子になったんです」
ふむふむ、それで肩身が狭いのが嫌で飛び出してきたのかい?
「違うんです。彼女の実家で過ごした最初の夜に夜這いをかけられて…」
なんてこった!血気盛んなお母さんだね!
「いえ、彼女のお父さんに…」
イェイ!どうとでもなれ!
「それで目覚めちゃって…」
ズンッ!心まで婿入りするな!
「僕と付き合いません?」
さっきのお前!口説くな!
「僕でよければ…」
乗るな!お前らは黙ってろ!ナポリタンあげるから!
カランコロン。
あらあら、今日は千客万来だな!どうした、もやしっ子。
「僕、ゲイなんです…」
ポンッ!もはや失恋してねー!
「僕らと一緒に飲もうよ」
誘うな!
「喜んで…」
喜ぶな!
「俺も!」
お前誰だよ!
「拙者も!」
コロ助!
「あたしも仲間に入れて!」
わーっ、さっきの彼女!それでいいの?
「あたし、男に恋してる男が好きみたい…」
二人の絆は体だけ…ってコラ!
「マスターも一緒にどう?」
喜んで…って俺もゲイかぁーっ!
…えー、以上、全編ゲイネタでお送りしました。