どうも、須貝です。
日曜日に東京ミッドタウンの21_21 DESIGN SIGHTに行って来ました。五月のぽかぽか陽気、家族連れやカップルが青々とした芝生に寝そべる、およそ日本らしくない光景が広がっておりました。
現在開催中の展覧会は、「POST FOSSIL ポスト・フォッシル:未来のデザイン発掘展」という企画。
この展覧会の意図を知るにはページ内にある説明文が一番分かり易いと思うので、それを抜粋しておきます。
~本展では、エデルコート(展覧会のプロデューサーであるリー・エデルコート)が「ポスト・フォッシル時代のクリエイター」と名づける、新世代のデザイナーやアーティストを10カ国から71組紹介。化石燃料時代の次へ向かおうとする今日、彼らは先史時代やものづくりの根源的なあり方を振り返りながら、新たな手法で自然素材や原始的な形態を制作にとり入れています。(HPより抜粋)~
単に次世代の若いアーティストを取り上げたというだけでなく、化石燃料時代の次の時代を担っていくアーティストの作品が展示されています。過去の素材や制作手法に立ち返り、再検討し、新たに解釈し、といったような、ポスト・フォッシルと言いながらも、その作品には未来へ移行する上で打ち捨てられつつある過去が必ず内包されていて、それでいてまだ見ぬ未来のものであるという、奇妙な感覚を抱かせる展示でした。
入場してすぐ展示されているのは、化石燃料と聞いてすぐイメージする、石油調の黒い、なめらかな質感を持った作品群。牛革や毛皮、木材や岩石や昔ながらの金属製品。陶芸やガラス細工や廃物利用。今まで馴染みのある、ともすると忘れ去られつつあるものたちが、新たな姿で目の前に現れます。そういった素材たちへの懐古や、時には皮肉や、憧れのようなものが綯い交ぜになった作品たち。最新の技術を用いた昔風のものたち。不思議です。
ラジエーターを加工してシカやヒツジを象り、毛皮を被せた作品だとか(実際に熱くなる)、植物の栄養となり、かつ土に戻って行く羊毛製のプランターだとか、ベッドや椅子の廃材を使って出来たウサギだとか、遊び心なのか強烈な皮肉なのかはたまた素材を追求して結果的にそうなったのか。作者と話してみたいと思う作品ばかり。
現代アートって、出来上がった作品の完成度もさることながら、その作品に至るコンセプトやメッセージもアートの構成要素として同じくらい大切で、それも作品の一部、というか大半を担っている。そういう意味でこの展覧会は尖っていて、革命的で、ポスト・フォッシルというテーマをちゃんと負っている気がしました。
ちょっと残念だったのは、パンフレットや作品の説明に何の素材を使ったのか詳しく書いてある作品とそうでない作品があったこと。これ何使ってんだ?ってのが単純に興味として掻き立てられたので。
でも、総合的には素敵な展覧会でした。料金もあまり高くないので観に行ってみて下さい。天気のいい日に散歩ついでに。うかうかしてると梅雨になっちゃいますからね。展覧会は6/27まで。