最近観た良い映画。

どーも、須貝です。

最近何とか時間を縫って映画を観ています。本当は映画館に公開中のものを観に行きたいんですが、時間が空いても映画を観に行くには微妙…なんて時間しか空きません。かつ、暇があったら寝ていたいのです。八時間以上寝ないと体調が整いません。「寝るのが趣味」と言った流川くんに非常に親近感を覚えます。

で、ツタヤなんですよね、半額になったら一気に借りてきて。そんなこんなで観た映画二本、いいもん観ました~。

○「インサイド・マン」

・まずですね、一つ言わせていただきたいのが、デンゼル・ワシントンが出演すると決まった段階でその映画は八割方成功なんですよね。彼に代わって勝手に大言壮語を吐いているようですが、決してそんなことはない!実際そうなんだもん!

・で、スパイク・リー監督。銀行強盗モノといったジャンルは最早一つのジャンルとして確立されていると言ってもいいものですが、これは筋の面白さに加えて人間描写がとても巧み。人種差別の問題なんかもチクリと扱いながら、さらには犯人と人質、そして警察という構造を見事に描写しきっている。いいすね。

・とにかくこういう話は一度自分で書いてみたい、やってみたい。どんでん返しが心地良いですよ。最近はもう半端なくらいじゃお客さんが驚かないからって妙にこねくり回したような話も多くなってきていますが、これは良く練られた筋とそれを支える役者陣、そしてそれを統括する監督の力量で、ひねくれていない正統派の犯罪ものとして充分な力を持っています。

・さらにそれで終わらないのは、映画の根幹の部分で人間の持つ狡猾さ、狡さ、汚さといったものに真っ向から向かい合っている、それがこの映画にもう一つの意味、重さを与えていると思うんですね。

・クライブ・オーウェンがいいっすね~。さっきからそんなことしか言ってませんが。本筋に深く関わってきているわけではないにしろジョディ・フォスターがしたたかでいやらしい弁護士役を見事に演じていますね。

○「クラッシュ」

・珍しく今回は話題になった二本となりましたね。「クラッシュ」は第78回アカデミー賞作品、脚本、編集賞の三部門を受賞しました。小ぶりな作品が多いなんて言っていた人もいましたが、放って置いてもいい映画が出来る国、ハリウッド。アカデミー賞の受賞もやはり一つのステータスとして決してひねくれた目で見てはいけないのだと思い知りました。

・まずは見事な群像劇であるということ、これぞ映画の醍醐味、この映画が脚本賞と編集賞をもらったということに全てが現れているわけで、まさにそうなんですよね。

・最初の十数分は僕のような偽善者には「うわー、ちょっとこんなに人種差別発言しまくられると引くわ」なんて思わせるんですが、そんなことはどうでもいいのです。「人種の壁」ということ、それがこの映画のテーマであり重要な要素であることに間違いはないのですが、その奥にあるのはやはり「人間の姿」。それがあるからこそこの映画は見世物として成立するのです。

・テーマ性がとてもはっきりしているんですね。人間の姿と言いましたが、それは特に「現代人」の、さらに言えば「現代アメリカ人」の姿。興行的には成功しそうもないですよね、本国では。今村昌平監督も日本では黒澤監督ほど評価されなかったですしね。でも賞取っちゃったんだから。

・「恐怖」、そして「家族」という最小の社会単位。それがテーマといえばテーマなんじゃないでしょうか。アメリカってやはり常に恐怖の対象を探している国な様な気がします。それは何もアメリカに限ったことではもちろんなくて、日本における尊皇攘夷、そして現在の北朝鮮への過熱した報道なんかもそうなんだと思うんですが、歴史的には黒人に対して、それが南北戦争では同じ人種であるはずのアメリカ人同士が殺し合い、今でも様々な人種がひしめき合い、時にいがみ合っています。誰かを否定することで自分を肯定するって、ナチスもやってましたが、人としては仕方がないことなんじゃないでしょうか。

・それでも、不可解だったり意味や利益なんかなかったり不合理だったりしても、助け合ってしまう瞬間が、どうしようもない瞬間が必ずある。それが希望に似たものとして描かれています。「希望」ではないんです。そこに確かにある感情だから、よく分からぬままに追い求めるものではなくて、確かに存在する瞬間、「希望に似たもの」が描かれている、僕はそう思いました。

・深く絶望的な家族の溝、愛しても愛されない、愛されていても気付かない、愛を求めてもどちらも得られない、そんなどうにも埋めようのない空虚さ。なぜか切なくなりました。

…あー、いつも反省するのにまたまた長々と書いてしまいました。反省。とにかく皆さん自分で観て自分で考えた方がこんな駄文を読むよりは早いわけで。既にご覧になった方にはあれかもしれませんが、是非是非~。

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