仲間が去って行ったこと。

どうも、須貝です。ご無沙汰しております。

今日、ポップンマッシュルームチキン野郎の主宰でらっしゃる吹原幸太さんが急逝されたとの報を受け、この文章を書いています。

僕は二度ほどご挨拶させていただいた程度でお仕事ご一緒したことはなかったのですが、劇団員である野口オリジナル君とは何度か仕事をしているので、勝手に近しく思っておりました。年齢もほぼ同じで、同世代を牽引する心強い仲間だと一方的に考えておりました。拝見した劇団の作品も最高に面白かったから。僕のような関係の遠い人間が仲間などと言うと不快に思う方もいるかもしれませんが、脆弱な日本の演劇界で、同世代の脚本家が頑張っているということのどれだけ心強いことか。

こんなに辛いことはありません。ただただ、一度でいいからご一緒したかったと思います。

また、思い出されるのは昨年の夏、こいけけいこさんが亡くなられたことです。明るく気さくで太陽のような女優さんで、先輩ですがほとんど同世代、闘病されていたことは知っていましたが、大きな衝撃を受けました。現場でご一緒したことはなかったため、やはりより近しい方々のご心痛は自分には測り知れないものであり、ただただ何もできず、黙ってうなだれるしかありませんでした。

分かっているつもりでも受け入れられない。やっぱり、一度でいいからご一緒したかったです。

僕自身は二年前にちょっとした病気をやって死生観が少し変わり、人はいつ死ぬか分からない、自分もいつ死ぬか分からない、いつ死んでも運命を恨むことはすまいと考えながら生きています。が、年齢の近しい、才能と前途に溢れた方が亡くなるということには、心が全然、準備できていませんでした。自分のことは覚悟ができていても(つもりだろうけど)、他の誰かのことに関しては全然でした。僕ですらそうなのだから、近しい方々のことを想うと胸が引き絞られるように感じます。

言いようのない喪失感があります。大きな財産を失ったように感じます。近しい方々は尚更だろうと思います。皆さんの心身の健康を心からお祈りします。

自分の知らないどこかで頑張っている方が亡くなるということの、この距離感で素敵な方が亡くなるということの、このどうしようもなさに、どう対処していいのか分かりません。

この喪失を乗り越えなければならないのだなと勝手に思っています。本当に仕事したかったです。ご冥福をお祈りいたします。

二〇二〇年五月十八日
須貝英

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