なんやかんやしているうちに、またしても四月を過ぎて一週間。ご無沙汰しておりました。
桜の季節になると必ず、桜が嫌いと言った友達のことを思い出します。今頃どこで何をしているのでしょうか。
さて、何をしていたか言い訳します。
四月の二日から四日間、大学から依頼された音響の現場に入っておりまして、ハル大学というイギリスの大学の学生たちが、近松の『堀川波鼓』を英語で上演するというものでした。
最初聞いた話では向こうの学生劇団ということだったんですが、どうやらそうではなかったらしく、有志の学生を集めた俄か劇団だったようで、向こうの学生劇団にちょっと興味があった自分としては少し落胆。それでもまぁどんな感じでやってるんだろうっていう興味はありましたけど。
台本や上演する言語はもちろん英語。稽古を見たりする時間もなかったので(彼らはまず三月末にイギリスで初演し、その後大阪、早稲田という風にかなりハードな日程をこなしていたのである)、ほぼぶっつけだったのではあるが、演出家さんにわりと厳しめの要求を出されてもお金のためだと割り切って耐えたのでした(初見でしかも英語だということを理解してくれていなかった様子。演出さんは日本人の方で向こうで日本の古典演劇を教えているそうです)。
大阪公演で音響をした人から引継ぎがあるはずがそれもなく(よっぽど嫌な思いをしたのだろうか)、舞台監督は照明さんとはしっかり事前に連絡を取り合っていたというかなりハブられ気味な雰囲気で、初日からかなり嫌な気分にはなっていたんですが、それもかみ殺し(なぜならお金のためだから)、初日はほとんどすることもなく(舞台の仕込みが押しまくった)、二日目にほとんどの作業をすることに。
音響は僕一人でやってたんですがさくさく問題なく進み、こりゃ余裕だわと思っていたら、他のセクションに諸問題が。まず舞台は幕の吊り変えなどに手こずり(使用した劇場はあくまでホールであり、上手と下手に赤い引き割り幕が。邪魔である)、照明さんはテンパってシュートに延べ八時間ほど費やしていた(サウンドチェックは三十分で終了)。
しかも場当たり(お芝居中の照明・音響などのきっかけをさらう)で照明さんがダメ出しされまくり、ほとんど照明さんのための場当たり。僕がもう一度返してほしいと思っても「時間がない」で一蹴。確かに時間はなかったが(お金のためだから何も言わない)。
終わった後も演出がブースで照明さんにネチネチダメ出し。耐え切れなくなって外にご飯を食べに行ったが、一時間して戻ってきたらまだダメ出ししていた(自分には関係なくても精神的に辛かった)。結局最終日の朝まで直してましたね。もし俺だったら耐えられなかっただろうなぁ(お金のためなら何だって耐えてみせるという気合)。
芝居自体は非常にシュールでありました。外人さんが着物着るとやっぱり似合わないね。外人コントを見ているような気持ちになって、クライマックスの仇討ちのところなど笑いをこらえるのに必死でした。だってイギリス人が着物着て刀持ってチャンバラしてるんだよ?理想的なお笑いですよ。
でも僕らがシェイクスピアなんかを当時の格好でやったりしたらやっぱり笑われるんだろうか、などと思っていました。難しいですよね。お芝居は音楽ほど自由に国境を越えられない気がします。
五月の頭にお芝居に出るのでその稽古なんかもやっとりました(前に言ったかもしれない)。やっぱり自分がする方が分りやすくっていいや、と思った今日この頃。