あ、どーも、須貝です。
今日稽古帰りに、コンビニに立ち寄ってジャンプと月刊マガジンを立ち読みしてさぁ帰ろうと出た所、自動ドアの前に黒猫が座り込んでいました。
野良猫って普通人の気配を感じたり一定の距離近付くと逃げていくものですが、その猫は一向に逃げる気配がありません。尻尾がカギ状に曲がっていて、不意にバンプ・オブ・チキンの「K」とういう曲を思い出しました。
その猫、のっそりと僕のために道を開けてはくれましたが、急いで逃げる様子もなく、ある程度離れるとこちらを振り返ってまたじっとしています。気の太い猫だと思って屈み込んで右手を差し出してみたところ、すっと擦り寄ってきました。相当人馴れしている様子、前に餌を貰った記憶でもあったのでしょうか。
一頻り撫でてやって満足すると、僕は自転車の止めてある方へ向かいましたが、それでも猫はこちらを見ています。相当腹が減っているようです。何かあげたいと思いましたが、生憎ガムくらいしか持ち合わせがありませんでした。
僕が何もくれないのを悟ると、猫は静かに去って行きました。
前にもそうやって人に擦り寄ってくる猫に遭遇したことがありましたが、それは身重の猫でした。彼女も腹が減っていたのでしょう、生まれてくる子供のために何か食べたかったのかもしれません。それを見た時何か僕は、生命とは強いのだ、とやたらに感動したのです、変な話ですが。彼女がどこかで無事に子を産んでいるといいのですが。
動物と対峙していると全てを見透かされている気持ちになります。猫の一鳴きが笑い声にも聞こえて惨めになる自分。あんたの四苦八苦が見えるようだよ、なんて思われているかも。
ポーが「黒猫」という有名な小説を書いていますが、黒猫というのは確かにどこか恐怖を感じさせる対象ではあるようです。恐怖というよりも未知、不気味さ、深淵さのようなもの。
生まれ変わったら猫になりたいと思っていた時期もありましたが、今は断然人間。来世でも後悔や苦悩や失敗や羞恥にまみれて生きていくのでしょう。現世で出来なかったことをやりたくなるだろうし。
いや、でもやっぱり猫もいいなあ。