何でもない日常を愛してる。


どうも、須貝です。

この間、柿喰う客の稽古が休みになったのをいいことに、映画を観に行って参りました。

普段僕は邦画を映画館に観に行くことはないのですが、せっかく映画の日で1000円だし、観たい映画が丁度公開中だったのでそれを観に行ったのでした。で、観たのは雨上がり宮迫さんと仲里依紗さん出演の『純喫茶 磯辺』。大好きな麻生久美子さんも斉藤洋介さんも出てらっしゃいます。

日常、の中に非日常が訪れるんだけど、日常の力に引き摺られて、結局日常に帰って行く。でもその日常が前にあったものとはまた違ったものになっていて、そこにいる人たちを少しずつ成長させていて、という様子が、丹念に描かれていた作品だと思いました。

ほのぼのくすくすと出来る映画なんだけど、全編を通して適度な緊張感があって、それが絶妙で。登場人物の背負っている現実も、決して軽くないはずなんだけど、その重さも丁度良い。配役も全てに納得がいって、二時間安心して観ていられる映画でした。

濃いキャラクターたちなんだけど、それが浮いてキワモノになっているわけではなくて、映画の世界観の作り方がうまいということもあるんだと思いますが、リアリティがあって。セリフ回しや役者さんの演技がとてもナチュラルだということもあるんだと思います。

宮迫さんは、芸人さんというフィルターを抜きにして、味のあるいい俳優さんだなぁと思いましたし、麻生さんはやっぱり美人で上手い。もう絶望します。

で、娘役の仲さんもとってもいい。役の位置付けとしてはステレオタイプなものだと思うんですが、その役柄に凄くよく嵌っていて、隣町にいそうな気がして。無理がなくて、宮迫さんとのコンビも良くて。これでまだ十八歳だって言うから、おじさんはもっと頑張らねばなぁ…。
和田聰宏さんも(僕はこの映画で初めて知ったのですが)、怪しくって色っぽい芝居をなさっておりました。

難しいことなんも考えず、作品に没頭出来た作品でした。僕自身の日常をしっかり離れて、あの街に没入出来て、本当にリフレッシュ出来ました。あー、良かった。

いい作品を観ると、これは自分が役者だからなのかどうかは分かりませんが、なぜそこに自分がいないのか、ということが非常に悔しくなります。何を言っているんだお前は、と思われるでしょうが、これは何十年も前のいい映画でも同じように思います。なぜこの作品に自分が関わらなかったのだろう、きっとメッチャ苦しんでいただろうけど、最高の経験だったろうにな、と思います。これはお芝居でもドラマでも映画でも同様に思うし、ライブを観ていても、なんで俺はあのステージ上にいないんだろう?と思ってしまいます。

これは役者というか物作りをしている人間だったら健全な反応だと思うんですけど、どうなんでしょうか?だからもう、これから自分が関われるものを最高にしていくしかないんですけどね。

もう最近は邦画の方が観たい作品が多くなっているんですよね。本当はこの映画を観た後に『インクレディブル・ハルク』を観ようかと思っていたんですが、なんかもうお腹一杯になっちゃって、そのまま帰って来てしまいました。エドワード・ノートンは尊敬してるけど、緑色だしな…。『ハプニング』は意外と面白かったです。B級っぽい感じが。

『たみおのしあわせ』も観たいし『西の魔女が死んだ』も観たいし『百万円と苦虫女』も観たいし『歩いても歩いても』も観たいし『ポニョ』も観たいしな。時間はあるけどお金はない、そんな二十三歳がお送りしました。

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