どうも、須貝です。
好きなことについて話します。
何かの終わり際が好きです。
もうすぐ終わると皆が気付き始める瞬間や、
終わって帰る辺りとか、
「お疲れ様でした」、「ありがとうございました」、「さようなら」と声を掛け合うこととか、
映画のエンドロールとか、
お芝居が静かに掻き消えるように幕を降ろす瞬間とか、その暗闇とか、
あぁどうしてこの時間は、永遠には続かないのだろうと惜しむことや、
そういう何かが終わることに、ぐっとくることがあります。
休みの日、雨が降って外に出ることも出来ず、
部屋の中でぼんやり雨音を聞いていることが好きです。
時間は朝の9時から10時頃、もっと寝ていようと思っていたのに、
雨音で目が覚めてしまう。
青い日光が部屋に差し込み、もう一度寝ようか起きようか考えたり、
隣りのビルが洗われる様子を眺めたり、電車の音が響いていたり、
そういう雨の日が好きです。
かっちりしたものが好きです。
レンガ造りの建物とか、引き出しに物がきっちり納まっている様子とか、
扱う言葉が正しかったり、音が隙間なく敷き詰められている曲だったり、
無理のない納得のいく話だったり、
そういうかっちりしたものが好きです。
ぼんやりしたものも好きです。
先が分からなかったり、
答えが見えなかったり、
僕には分からないだけでそこには何かしらの主張が寝そべっていたり、
言葉には出来ないけど理解出来るものだったり、
誰かが言い淀むその言葉の先にあるものだったり、
そういうぼんやりしたものも好きです。
女の人が胸の上辺りが開いた服を着ているのが好きです。
肋骨の上から喉もとにかけての辺りが好きです。
胸の大きい人がその格好をしているのは嫌いです。
午後少し遅い、晴れた日の、陽の落ちかけた街が好きです。
そこに生活のにおいがしだす、皆が少しずつ帰路を意識し始める、
夜に向かうにつれて誰かしらがどこかしらへ向かい始める、
そういう追い立てられる何かを含んだ平和さが、
心の中の何かに触れる時に、その街が一気に親しみ深いものになる感じが、
好きです。
人気のない美術館が好きです。
一つの絵の前にずっといられるのがいいです。
ハリウッド映画の銃の音が好きです。
日本のそれと何かが違う気がします。
買い物が好きです。
古着が好きです。誰かが着たものだとか、あまり気にしません。
深夜に散歩するのが好きです。
普通の時間に散歩するのも好きです。
食べるのが好きです。
別に高級なものだったり格別に美味しいものでなくても、
食べるのが好きです。
どこかへ向かう、途中が好きです。
旅に行く時も目的地よりその行程の方が心惹かれます。
普段は疑ってばかり蔑んでばかり
どうしても後回しにしたくなりがちな自分を、
信じられる
そういう瞬間に自分を取り巻く全体的な世界が、
いつもの二割増しくらいで好きになる
そういうことがままあることを知っている、
それならばくさくさせずに気持ちよく
生きてみようかと思ったりする。
好きなもののことを考えて生きてみようと思う。
手を尽くしても心を尽くしても言葉を尽くしても
届かなかったりする諸々に、
届けばいいなと思っている。負けずに頑張っていたりする。
そういうことが大事だとふと思ったり、
気付いたり、
抱き締めてみたくなったり、
ただただ大切にしようと思ったり、
好きというのはそういう感情だと思う。
好きなもののことを考えていると、不思議と心が解れるような気がします。
こういう時代だからこそ、こういう時代の中で、嫌いなもののことではなく、
好きなもののことを考えてみようと思います。