子供だとか大人だとか~好きな絵本~

最近、大人の絵本が流行ってるんだって。

もう最近ってわけじゃないだろうが、そういうムーブメントがありますよね。あくまで子供のためにあるんだから、子供が読めよ!と思ったりもしますが(明らかにこの流れに乗って大人向けに作られた絵本もあります)、世の中に疲れた僕らのような大人が癒しを求めるものとして、よいメディアだと思います。

…てなわけで僕が感銘を受けた本を紹介します。

1.すてきな三にんぐみ

○泣く子も黙る絵本の定番。子供の頃に読んだんですが、ずっと好きで愛読してます。トミー・アンゲラー作、今江祥智訳。
まず絵がいいですね。絵本であまり黒って使われないと思うんですが、深い夜の青と相まってとても効果的です。泥棒(というか、していることは強盗やら誘拐。ヘビーです)三人組の切り絵のようなタッチもほのぼのとしていていいですね。
三人組から逃げ惑う人たちも滑稽で好きでしたね。アンゲラーはもともと諷刺画なんかも得意な方で(どちらかというとそういうブラックな方が本性な気がする)、社交界のお歴々に対する諷刺が込められているのでしょう。(『PARTY』という社交界の諷刺画も描いてます)
孤児の村を作るというぶっ飛び方も好きです。きっとこの強盗三人組も孤児なのでしょう。と、いうバックを彷彿とさせます。

2.アンジュール

○これは友人に薦められ、立ち読みして即効で買った本です。鉛筆(木炭か?)で描かれた絵のみで語られる物語。最高にクールな絵本でございます。絵本というよりアート、一枚一枚の絵をリトグラフにして飾りたいような絵本ですね。とにかく絵が素晴らしい。極限まで削り取られた情報が、逆に私たちに多くのことを語ります。
点のように描かれた主人公の犬が、大きな空の前で立ち尽くす絵が好きです。
作・絵 ガブリエル・バンサン。

3.ギャシュリークラムのちびっこたち

○鬼才、エドワード・ゴーリーの代表作。この方の絵がもともと好きで、ずっと銅版画だと思ってたんですが、手描き。狂ってますね。
この話はまずプロットが存在しない。AからZまでの名前の頭文字を持つ子供たちが、順に死んでいくというお話です。1Pに一人の死の物語。その発想もすごいが、二十六通りの死に方を考えたのもすごいと思う。
これなんかは明らかに子供のために描いてはいませんね。いや、そもそも誰向けなんだ?いや、そもそも彼の作品を絵本に分類してしまっていいものか?と思います。残酷だがどこかユーモラスでおとぎ話のような印象を抱かせます。
副題が「遠出のあとで」。残酷な内容には、あまり一人で遠出すると死んでしまうぞ、という訓戒が込められているのでしょうか(個人的にはそうではなく、単に彼の趣味であってほしいと思う)。

「最近、絵本にはまってるんだよね~」とか言ってるそこのお前!いくら流行りだからって絵本ばかり読むな!大人なら本を読め!そして小休止で絵本を読め!そして小休止にはぜひこの三作をどうぞ。

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