劇場の幽霊

どうも、本番直後で抜け殻状態の須貝です。次の本番まで一ヶ月を切りましたが、セリフ覚えの日々がまた始まります。ちょっと憂鬱です。

さて、突然ですが皆さんは見える方ですか?

もちろんアレです。亡霊とか幽霊とかの類です。僕は全く見えません。きっと霊感も凄く鈍いはずです。しかしそれと空気が読めないことは関係がありません。

よく言われることですが、劇場には必ず幽霊さんがいらっしゃるそうで、その幽霊さんが影の劇場管理者状態にあるということも少なからぬそうで。あの閉鎖空間が霊を留めておくのでしょうか?それとも呼び込むのでしょうか?その辺りの詳しい話は全く門外漢ですが、霊感のない僕でもそういう経験が出来てしまうというのが劇場の面白い所ですね。

体験した話はそれ程ではありませんが、聞いた話ならいくつもあります。どうやら人が死ぬ話や、四谷怪談のようないわくありげなものを上演する時に出ることが多いようですね。

○舞台裏に…

・これは聞いた話でかなり記憶がおぼろげなんですが、そういう話だと思って聞いて下さい。

・ある公演で舞台の後方に舞台を前後に仕切る幕、いわゆる大黒幕(舞台の背景にホリゾント幕という、照明を当てて背景を演出する幕があるんですが、それを隠すためだったり、単に背景を黒くするために引いたりする幕ですね。歌舞伎なんかでは夜のシーンの幕とも言えます)がありまして、この公演では舞台最奥に吊られていた訳ではなく、背後に役者が通れるようにちょっとした空間があったのです。

・で、そこを役者さんが上手(客席から見て右側)と下手(客席から見て左側。ちなみにフランスは逆)の袖を移動したりするのに使ってたらしいんですが、ある役者さんが、次のシーンで上手から出なきゃいけないのに一向に来ない。前のシーンで下手にハケていたわけですね。

・で、その人を舞台監督さんが呼びに行こうとしたところ、その人はちゃんといて、大黒幕の裏、下手側にいるのにこっちへ来ようとしない。出番を忘れている訳でもなく、舞台監督さんの手招きにもちゃんと気付いている、でも来ないわけです。それで舞台監督さんが上手の方へ行こうとしたのですが…

・そこで彼もなぜその役者さんがこちらへ来れなかったのかに気付いたわけです。なんと幕の裏の通路の床から、白い手が無数に出ていたのです…!

・…で、どうなったかというと、舞台監督さんはわりと平気な人だったので、白い手の中をずんずん進んでいき、その役者さんの元へ行ったわけです。しかしその人がやはり怖くて行けないと言うので、おんぶして上手まで無理矢理連れて行ったそうです。

○効果音で…

・これは都内某所のよく出ることで有名な劇場の話です。

・僕の音響の師匠の方がその劇場の現場に入ってたんですが、そのお芝居の中に関東大震災のくだりがあったのだそうです。関東大震災といえば浅草十二階の崩壊が有名ですが、主宰さんにその効果音を作ってくれと頼まれたそうで、作って実際に劇場で鳴らしたというのです。ところが…

・主宰さんが、「この効果音ではリアル過ぎてダメだ」と言ってきたのです。そのための音響ですから、その点をダメ出しされるのもおかしな話。聞いてみると、「リアルすぎて呼んでいる」とのこと。

・その主宰さん、メチャメチャ見える人だったらしく、ただでさえ多いのにその効果音が霊を呼び込んでいたらしいのですね。叫び声などかなり入っていたらしく、それをやむなくある程度カット。そんなこともあるんですね~。

○猫の声が…

・これは僕が実際に体験した話です。

・我らが早稲田にある劇場、どらま館もまた霊が出ることで有名。早稲田の演劇人はその方を親しみを込めて「どらま館さん」と呼んだりしています。お芝居好きの幽霊らしく、時々舞台の転換を手伝ってくれたり、きっかけを忘れた役者の肩を叩いてくれたりするそうです(いい人)。

・で、そこで僕は一人芝居をしたんですが、あるシーンで、ブースにいる音響さんがマイクを通して話すシーンがあったのです。そこには猫がいるという設定だったので、その横でこれまた照明さんに猫の鳴き真似をやってもらっていたわけです。そして迎えた最終日…。

・いつもと同じようにそのシーンを迎えたのですが、どうも猫の声が多い。音響さんの声、照明さんの声、そしてもう一つの声。つまり猫の声が多くあったわけですが、その日は僕の同期の子がブースで観劇していたので、その子の声だと思ったわけです。

・ところが終演後に聞いてみると、そんなことはした覚えがないとのこと。ブースにいた他の二人もそんな声は聞こえなかったというのです。しかし確かに僕は、そして撮影をしてくださっていた方にも確実に聞こえていたのです。

・映像で確認したところ、確かに誰の物でもない猫の鳴き声が…これはきっとどらま館さんが参加しちゃったのだろうとういうことで話は落ち着きました。

他にも誰もいないはずなのに誰かとぶつかったとか、誰かに触れたと思ったら壁があった(つい先週まで僕がいた現場であったそうです)などなど、話は尽きません。勘違いしている可能性も勿論多くありますが、きっと誰かいるのでしょう。

演劇が好きな幽霊だったら、面白いお芝居は手伝ってくれて、つまらないのは邪魔したりするんでしょうか…?だとしたら邪魔されないように頑張ろっと!!

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