フランス旅行記・その7


どうも、須貝です。

散々迷った末に無事TGVに乗った僕らは、演劇祭が開催される場所、ブザンソンを目指します。TGVと言えば、ケミカル・ブラザーズのスター・ギターのミュージックビデオですね。お、こ、これは!正にビデオで観たぞ!という風景や、MVにもあった電車同士のすれ違い。そのまま本物を見ることが出来ました。

暫く行くと、窓外には美しく牧歌的な風景が広がり始めましたが、それを楽しむ余裕もありません。二日間の観光気分をお芝居モードに切り替えです。車中でひたすらセリフの確認。思った通り、抜けています。マズい。

と、言うことで、行きの電車の記憶はほとんどありません(悲しい)。台本読んで、ちょっと寝て、また台本読んで、の繰り返し。二時間半くらい乗っていたんですが、停車駅が二つほどだった、というのがとても驚きでした。

そして、到着です。現地でお世話になるフランス人の方々と(日仏協会、という所の方々です)、日本人留学生の方々と対面します。皆さんが歓迎して下さり、疲れも吹き飛びます。
辺りはもう既に真っ暗。一体自分たちがどんな所に来たのか風景を見てみたかったんですが、何も見えません。街灯もあまりありません。どうやら、山々に囲まれているらしい、ということは何となく分かります。パリから遠く二時間半も隔たって、とんでもない田舎に連れて来られたのではないか…お客さんなんて、いないんじゃないだろうか…という不安が胸を去来します。正直、パリでもっと遊びたかったよー、って思っていました。お前は何しに来たんだ、って話ですが。

とりあえず、滞在期間中に僕らが泊まることになる大学の寮まで車で乗せて行ってもらいます。到着しても、真っ暗。とにかく不安です。部屋は一人部屋だったんですが、こちらは意外性無く大学の寮っぽい室内。広さは六畳くらいでした。しかもその寮、一定の時間が経過すると廊下の電気が消えるんですね。だから最初はメチャメチャビビりました。急に真っ暗になるから、その度に廊下のスイッチを点けて。不安増殖です。

そしてさらにビックリしたこと。トイレに便座が無い。フタも無くて、便器くんがポツンとあるのみです。これはもしかして、便座の盗難を予防するために、生徒一人一人が便座を持っているという仕組みなのかしら、それとも、こちらの人たちは空気椅子的に用を足すのかしら、などなど、自分の頭の中で憶測が飛び交います。後で聞いた所、便座は人が使った物にまた尻を下ろすのが嫌だから、無いのだという話。本当かなぁ…?俺の聞き間違いかなぁ…?実際僕は空気椅子がキツかったため、仕方なく便器くんに直座りしていたので、どうせ直に座るなら便座が欲しい、と正直思っていたんですが。もしくは和式の便所を作ってくれ。

不安な一夜が明けて、朝です。天気は良好、昨日見ることが出来なかった寮の周囲の全景を見ることが出来ます。もう、とにかく山!!山に囲まれています。その日は夕方まで稽古をしていたんですけど、その稽古場の辺りも、緑!!草っ原で、小高い丘の上にある建物でした。スイスに近い地方だったんですけど、イメージ的にはハイジを思い浮かべていただければ、そんなに違いはありません。ハイジよりも高度は低いですけど。

そんな素敵な所で稽古。大学の音楽室らしく、ピアノなんかも置いてある所をお借りしました。そして隣には柿喰う客の皆さんが。元気な声が聞こえてきます。僕らの方のお芝居が割りと静かなお芝居だったので、結構気になります。楽しそうだなぁ…。

お昼はそんな草原のような屋外で食べました。買って来てもらったパンを広げて、ピクニック気分です。天気が良くって気持ち良かったですね~。

そんなこんなで稽古を終えて、夜は歓迎会を開いていただきました。今回参加するベルギーチームの皆さんと一緒です。チーズやらパンやらワインやら振る舞ってもらいましたが、明日本番だってのにこんなまったりしていていいのか、と思うくらい、普通にパーティー。

ほろ酔いで部屋に帰りますが、明日はいよいよ本番。気合を入れ直します。

~つづく~

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