○おやすみとおはようの間
早稲田からの始発、都電荒川線は今日は混んでいて、いつもなら座れるガラガラの席が全て埋まっている。
そうか、今日は祝日だったけ。どおりで皆幸せそうな顔してらぁ。
あの頃、あの人からのメールが「おやすみ」で終わって、僕が再び「おはよう」で始めるその間、おやすみとおはようの間には神聖なまどろみがあって、誰にも侵すことが出来なかった。
あの頃、僕のおやすみとおはようの間にあった感情には、この車内の全ての幸せが集っても、敵わない。
新目白通りに沿って、日付変更線を横切る。
一日がようやく始まる。
~おわり~