絶対に大丈夫。


どうも、須貝です。

遂に数時間後に横浜に入ります。STスポット。明日は早くも幕開きです。

雪が降ったせいか少し気持ちがうるうるしていて、ちょっとしたことでもひどく感じやすくなっているというか、途端に不安になったり、泣きそうなほど嬉しくなったり感動したり、ちょっとしたことに腹を立てて気になったり、数秒後には忘れていたり、本番をどう迎えていいものか、戸惑ってばかりいます。

自分で当初思っていたよりも気持ちはずっと落ち着いていて、一向に焦る気配がなくて、そのことにかえって不安になる始末です。

二月に入ってからは、もう早くこの作品をお客さんに観てもらいたくて、ただただ稽古しいてるのが勿体ない気持ちになっていて、もうやれることはちゃんとやったなと思えていて、だから今まで経験したことがないくらい、穏やかな気持ちで劇場に向かえそうです。

役者をやっている時もそうですが、特にものを書く時は、「自分が書いているという理由だけで作品を愛しちゃいけない」と思っていて、だから一度としてはっきりした自信を持てたことはないんだけど、この作品は大丈夫な気が、そんな気がするんです。

今日、ラストの方を稽古していて、僕は不覚にも泣きそうになって、「なに自分が書いたもので」と、気持ち悪いなと思っていたのですが、それには多分ちゃんと理由があって、物語を書いたのは僕ですが、その僕が思っていた通りのものが、そして思っていた以上のものが、ちゃんと出演者たちの体の中に生きていて、それがビシビシと伝わってきて、もうそれだけで泣きそうになってしまった。

この公演の全てが順調で、何の滞りもなく進んだわけじゃない。失敗だったかもしれないと何度も思ったし、失敗するかもしれないとかなり確かに思ったこともあった。

僕が思ったことや感じたことが一欠けらも受け入れられないかもしれない。二ヶ月以上の時間をかけて作り上げてきたものが、一つも伝わらないかもしれない。皆の努力がバカみたいになるかもしれない。これを終えたらもう二度と創作に向き合えなくなるかもしれない。

そういう恐怖が物凄くあって、世の作り人はどんな気持ちでこれを超えるんだろうと、押し潰れそうに感じた。でも、そういうものを今乗り越えて、そういう心の落ち着きが、あるのかもしれない。

だから僕は必死に生きる舞台上の役者たちを見て、この作品は絶対に大丈夫だなと、他人事のように思ったのでした。あとは僕が役者の仕事をちゃんと出来るかどうかだけだな。

なんだか、世の中にこんなにも愛すべき時間が存在するのならば、この先世界がどうなろうと、人間は大丈夫だなと、そんなことまでも思っているのです。

瑣末なことに引き摺られて自分を失うようなことは、きっとないような気がした。将来も変わらずそう思っていられるかは分からないけど、今そう思えている瞬間が大事で、その瞬間はとても信用出来るものだなと思います。

劇場でお待ちしています。

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