火星での生活・5

ふぅ…くそ、野口君重いなぁ…何食って生きてんだよ…デブキャラってほど太ってないからネタにもなりゃしねぇ…いじめられてるんだから謙虚に霞とか食べて生きればいいのに(差別)…

それにしても何でこの高校の保健室は二階にあるんだろう?緊急時に絶対困るよ…。階段はさすがに疲れる…。あっ…。

ガッ、ドッ、ゴガッ!ズシャン!

た、大変だ!うっかり野口君を離しちゃった!どうしよう…まぁいいか、他の怪我に紛れるだろうから…

(三十分後)

「なるほど、それでこんな瀕死の状態なわけね?後一時間遅れていたら死んでいたわね…」

散々遅れたましたけど…
しかし、保健室のセクシー番長、舞珍具町子先生(沖縄出身)はいつ見てもきれいだなぁ…あわよくば僕が治療してほしいくらいだよ。

「とりあえず強心剤を打ちましょうか」

えぇ!?強心剤!?それって一大事じゃないですか!病院に行ったほうが…

「(チクッ)う~ん、意識が戻らないわ」

そんなすぐに戻りませんよ…。

「かくなる上は電気ショックね」
「あの…病院に連れて行ったほうがいいんじゃないですか?」
「バカね、病院になんて行ったら学校の責任能力とか色々問われちゃうでしょ?しかももし大したことなかったらそれだけ損よ」

なるほど、さすが町子先生!常に学校の世間体を考える、教師の鏡だ!

「じゃあいくわよ、上田君、足押さえといて」
「は、はい…」
「う、う~ん…あれ?ここはど…」
「(バンッ!!)」

あ、あれ~!?い、今野口君意識戻らなかった?マズいよ!これ治療じゃなくて殺人だよ!

「ダメねぇ…よし、もう一回!」

ちょ、ちょっと待って、町子先生!

「ゴホッ!あ、あの…」
「(バンッ!!)」

わぁ!!やっぱり!先生、彼意識戻ってるって!

「え?うそ?まぁ大変」

なんでちょっと冷静なんだよ!「大変」じゃ許されませんよ!

「テヘ♡(チラッ)」

かわいいから許す!

「あ、あの…ここは…」

チッ、目覚めたか、半端デブ。せっかく二人きりの時間だったのに…

「あなた確か…」
「の、野口です。火星から転校して来ました」

まだ言ってるよ…。

「へぇ、火星!ずいぶん遠くから来たのね」

なんでみんな信じちゃうのかな?

「どうして日本に来たの?」
「自宅が埼玉…いえ、たまたま不時着しちゃって…」
「他の国には行ったことある?」
「去年フランスに家族旅行…あ、資源調査に…」

ごまかすならもっとちゃんとごまかせよ!

「いいわねぇ、フランス!火星人から見てフランスはどう?」
「いやぁ、驚きましたよ。フランス人は朝から水のようにヴォルヴィックをがぶ飲みするんです」

ヴォルヴィックは水だから!それを言うならワインでしょ!?

「へ、へぇ、ワインをね…」

ほら、先生に気を遣わせた…。

「あ、そう、ヴァインべふ…」

何!?今なんて?

「ウフフ、火星人って意外とお茶目ね…」
「先生こそ…」

おいおい、なんだよこの展開…僕がいるの覚えてる?

「もっとあなたのこと知りたいわ…(チラッ)」
「僕も、先生のこともっと深く知りたい…(チラッ)」

だから何だよこれ!先生のチラッは分かるけど、野口は何を見せてんだよ!

「今夜どうです、食事でも…昼はお茶目でも、夜の僕はちょっと違いますよ。特にベッドの中ではね…」

なんだよこいつ!ムカつく!半端デブのクセに!

「ウフフ、遠慮しとくわ、今日はこれから校長とセック…不倫…打ち合わせがあるから」

うわぁ!頼んでもいないのに大人の色んな事情を察してしまった!

「僕は三人でも構いませんよ…」

死ね!

「今度ゆっくりね、豚足ちゃん」

なんだよこの安い展開!

「もっとなじってください…」

変態!

「あ、そこのモヤシボーイ」

……え?僕?

「そう、あなた」
「…あの…上田です」
「あぁ、そうそう、上田君、彼を家まで送って行ってもらえるかしら?」

えぇ…なんで僕が?

「そんな嫌そうな顔しないでよ。彼は本当はまだ安静にしてなきゃいけないんだから。途中で何かあったらどうするの?」
「町子先生が送っていけばいいじゃないですか」
「だから、あたしはこれから校長とセック…」

分かりました!送っていきますから!お願いだからこれ以上イメージを壊さないでください!

「よかった!さすがモヤシボーイね!」

だからモヤシボーイって何ですか…。

「よろしく頼むよ、モヤシボーイ」

ゴガッ!

あ!しまった!あまりの怒りに思わず殴ってしまった!ごめんよ野口君!

「アフフ…いいパンチ持ってるじゃないか…もっと殴っても…いいんだぜ?」

うわぁ…こいつ、変態…。

~続く~

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