火星での生活・11

ガチャリ。

開いた。開いてしまった。
出来れば開かなければいいのにと思った、屋上へのドアが…

「あ、開いた…」
「だから屋上の鍵なんだから当たり前でしょ?」
「いや、そりゃそうだけどさ…つくづく田所さんが恐ろしいなと思って」
「別に普通よ。川村先生なんか…」

え?

「いや、なんでもないわ」

気になるー!!

「こっそり後ろから近づいて脅かしてやろうか?」
「や、やめてよ!間違って落ちちゃったらどうするんだ!」
「願ったり叶ったりよ!」
「だからダメだって!」
「そこにいるのは誰だ!」

し、しまった…野口に気付かれた!

「も、もしかしてお父さんとお母さん?」

違うだろ!自分の肉親の声くらい分かれ!

「僕だよ、上田だよ!」
「そして私は田所よ」
「え!?田所さん!?嘘だ、田所さんは死んだはずだ、僕のビームサーベルを受けて…」

いやいや、驚いたのは分かるけど、フェンスから手を離しちゃダメ!

「う、うわっ!危ない、僕を殺す気か!?」

自分が勝手に…

「その通りよ!」

違う!!

「止めないでくれ、僕は自殺するんだ!」
「だから誰も止めてないって言ってるでしょ!」
「だからやめなよ!」
「僕は田所さんを殺しちゃったから、こんな僕なんか生きていてもしょうがないからそれで自殺しようと…」
「それじゃあもう死ぬ理由なんてないでしょ?なら早くこっち戻っておいでよ!危ないよ!」
「いやだ!」
「なんでだよ!」
「僕は気付いたんだ、僕なんかどだい生きていたってどうしようもないって事に…」

そんなこと…ないって言ってあげたいけど、言えない!

「そうだけど、今更って感じでしょ?」
「ちょ、田所さん!」
「フ、だからここらで人生を終わらそうと思ったのさ…」

だからって…かける言葉もなかった。

その時、業を煮やした田所さんが、驚きの行動に…!!

~つづく~

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