心機一転。

 ご無沙汰いたしました、須貝です。長らくお休みさせていただきましたが、とりあえずの再開です。

 いやー、終わりましたよ、公演がね。久々に心も体もみっちり疲れました。劇場に入ってからは本当にあっという間でしたが、ご来場してくださった皆様、ありがとうございました。

 今回は迷惑をかけましたね。毎回そうですが、今回は特に。まず芝居も出来上がらん、さらに劇場入り直前に咽喉を壊して声が出なくなる、本当に役者として最低でした。行く末の在り方を考え直しましたよ。

 今だからある程度冷静に振り返ることが出来ますが、傍目に分かるくらいテンパッていましたね。メインの役柄であったということと難しい(僕にとっては)役柄であったのでね、脳がフィーバーしておりました。

 自分はどう思われているんだろう、なんてことばかり考えていました。一番下っ端ですから、「こいつのせいで芝居がぶち壊しになる」と思われているのだろうなと(事実思われていたと思いますが)そんなことばかり考えていて、共演者の皆さんに相談すれば良かったのですがそれもせず、今思い出すと反吐が出るくらい、小さなプライドのせいで無駄な時間を過ごしてしまったなぁと後悔ばかりが頭に浮かんできます。俺じゃあるまいし、そんなに心の狭い人たちの集まりだとでも思っていたのかと、勘違いっぷりに呆れ返ります。そんなことに気を取られている時点で相当ズレているわけですが。

 本当にね、救いの無いラストなのですよ、信念をへし折られて、それでも負けるわけにはいかなくて、完敗しているんだけどそれを認めることも出来ずに、どうすれば勝利できるかも分からずに、疎外されて嘲笑されて、よく分からん希望を持っていけしゃあしゃあと生きている奴もいて、そんな奴にすらそっぽ向かれて、ト書きにもあったのですが「絶望にすら絶望して」しまっているというラストシーン。主宰の古川さんに「感情移入し過ぎないでね」なんて風に言われましたが(確か言われた気がします)、真正面から向き合おうとすれば向き合おうとするほど、どこに何を持っていけばいいか、何をどうすればいいか、自分が何を拠り所にしていいか分からなくなってしまって、作品を冷静に読み解いていればそんな悩みのようなものはお門違いだったと思うのですが、そのことすらにも気付けないほど周りが見えなくなっていたのかもしれません。共演者の皆さんや古川さんは助けてくれようとしていたのに、それにすら気付けなくて、自分本位に勝手に苦しんでいました。本当に腹立たしい。許しがたい。これほどまでに自分が許せないと思ったのはもしかしたら初めてかもしれません。

 劇場に入ってからは薬のおかげもあってか咽喉も良くなり、逃げ場がなくなったためか妙な迷いも吹っ切れて、結局千秋楽まで声を嗄らすことなく全ステージを無事に終えることが出来ました。結果としてはお客さんに満足していただけるものを作り上げるのに貢献できたかなと思っています。足を引っ張ることはなかったかなと。

 初めてこの箱庭円舞曲という劇団に出させていただいた時に、自分のせいで芝居をぶち壊したという思いが強くあって、今回もまたそういうことになるのでは、と思っていた部分はありました。自分一人がダメなだけで芝居がダメになると言うと驕っているように聞こえるかもしれませんが、どんなに綺麗な絵でもど真ん中に虫喰いのデカイ穴があったらやっぱり興ざめなわけで、それはそれでシビアに受け取らねばならないことなのだと思います。恐怖です。他の人がどんなに必死に紡ぎ上げようとしていようが、自分が無頓着なために、あらゆることに無意識なためにそれを無にするというのは本当に、恐ろしい。実際にそう指摘された時に、本当にもうこれきりにしてやめようと思いましたが、今回もずっとこれを最後にやめることばかり考えていました。

 こんなことをくだくだしく書き連ねるのは本当に格好悪いことで不誠実なのですが、与太話だと思ってお聞き流しください。一度振り返ってみたくなったんですね、なんとなく。

 今回自分を支えていたのは、「それでも、それでももしこの役をすら楽しむことが出来たとしたら、大抵の役には耐えられるようになるかもしれない」という思いでした。そう思って自分を叱咤していました。

 今でもぐるぐると様々な考えが纏まることもなく頭の中を右往左往していますが、今後どうしていくか、少し立ち止まって考えてみようかなと思っています。

 でも。逃げなくて良かった。諦めなくて良かった。心底そう思います。

 今後ともあくまでマイペースに更新を続けていきますので、何卒よろしくお願いいたしますm(__)m

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