弱いんです。


どうも、須貝です。

前にも言ったと思うんですが、滅多に邦画を見ません。ところがなんと、今年観ている邦画の本数がたぶんもう既に五本以上(いや、そんなもんか、って感じですが)になっております。邦画見てますねー、今年。

心境とか好みとかが変わったわけではないと思うんですが、観たいと思う邦画が増えた気がします。逆にあんまり観たいと思う洋画が無くなって来たような…最近カジノ・ロワイヤルを借りて観ましたが、意味が分かりませんでした。いや、話の筋が分からないということではなく、なぜこんな筋立てにしたのか、演出をしたのか、という意味が分からない、何とも微妙な作品でした。007はやっぱりショーン。

で、一緒に借りた邦画、「ゆれる」。いやぁ、良かった。びっくりしました。非常に感覚的でありながら、筋を疎かにしていない。情景や脚本や役者が全て相まって、一つの完璧な世界観が作り上げられている。いいです。

まず圧倒的にオダギリさんがカッコよくて。男性のタイプ的にはあまり好きじゃないんですが(男目線で、です。決して両刀ではありません)、カッコいい。

香川さんもいやらしさというか、静かに狂っている様子というか、あの人にしか成立させ得ない世界を独自に持っている感じがして、憧れます。

真木よう子さんも、僕は知らなくて初めて観たんですが、可愛い。そして幸薄そう。それが役柄にマッチしていて良かったと思いました。

僕自身が役者なので役者さんをまず見てしまうのですが、お話が、もう。これも前に言いましたが、僕は「親子」の話と「兄弟(姉妹)」の話にヨワいんです。どっちも入ってるじゃん!もう垂涎です。

監督・脚本の西川美和さんの、「田舎」というか「故郷」というか、それよりもしっくり来るのは「実家」という言葉なのかもしれませんが、そういうものに対して抱いている(と思われる)イメージに、とても共感を覚えました。もしかしたら誰もが持っているものに訴えかけているのかもしれませんが。

僕は、本編中、主人公の猛が智恵子の元から深夜に帰って来る、その猛を迎えた兄の稔が、猛に風呂に入るよう促した時に、「あとお前だけだぞ」と言ったそのセリフが、どうも自分の原初的な感覚に訴えてきてしまって、印象に残っています。こういうセリフは、こういう生活の中に身を置き、それを客観的に見つめることが出来なければ、書けないものだと思います。

最後のシーンが、目に焼き付いています。かつて二人を隔てた激流のように、二人を隔つ車の流れ、猛の叫びと稔の表情。不気味さ、爽やかさ、解放感、様々に複雑な感情を、あれだけの短いシーンに凝縮している、それがもう、ラストシーンとして秀逸だと思いました。僕の個人的な感想にしか過ぎませんけど。

こんな作品を自分も作りたいし、こんな作品を作る人たちに関わりたい。そういう欲求が、常に溢れている気がします。

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