品の良さなど。

どうも、須貝です。

突然ですけど、今の世の中には品がなくなってきている気がする。
分からないけど。
元々あったかどうかも分からないけど、何かそういったものが、なくなってきている気がする。

それはちょっとした余裕だったり人のことを気にする0.1秒の躊躇だったり誰かと少しだけ距離を取る1cmくらいの違いでしかないのかもしれないけれど、大きい。そしてもしそれがかつてあったのだとしたら、きっともう戻って来ないような、そんな気がする。

品があることがいいことなのかどうなのか分からない。品がないことがいいことなのかどうなのか分からない。
ただ言えるのは、今の世の中には品がないという、その事実があるということだけ。

最近レイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』を読み終えて、これは品について書いた話なのだと思ったんです。著者は恐らく品がなくなってきていることを嘆く立場に若干寄っているような気がするんだけど、そうでもなく、ただ品がなくなったという事実を正面に捉えて書いているだけなのだという気もします。
僕が好きで何度もここで取り上げている映画、『ノーカントリー(No Country For Old Men)』もやはり、品のなくなった世界を冷徹に見つめる男の話だと、僕は思っている。

品がなくなったことを嘆く必要もなく、品があることを過剰に求める必要もなく、ただ僕らに必要なのは、品がないのだという事実を受け入れることだけなのだと、思うんです。

その事実を知ったその先から、僕らがこの世界にどういう態度を取るのかということが始まってくる。この世界とどう関わり、この世界に何を期待し、もしくは失望し、この世界の中で自分の位置をどこに置き、もしくはどこにも置かず、この世界に何を為し何を為さないかということを、はっきりさせていかなければならない。大事なのは正しいか間違っているかではなくて、はっきりしているかどうかだと思っています。

僕は僕の品の感覚を頼りに、それでもやはりこの世界の中で、自分なりの品を大事にしていきたいと思うんです。例えそれが無用の長物に成り下がっても。そういう意味では、やはり嘆いているのかもしれない。でも別にどちらでもいいんです。僕は納得して生きていきたいだけ。だから特に怖いものもない。大丈夫。

最終的によく分からない話になりましたが、品について考えてみましたということで。

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